高卒で就職した私が「学歴コンプレックス」を手放した話|27年間で気づいた、大卒と自分の本当の差

キャリアのリアル(高卒・係長の壁)

入社式の自己紹介で、縮んだ気持ち

入社式の自己紹介を今でも覚えている。

「〇〇大学経済学部卒業の△△です」「〇〇大学院修了の××です」。次々と出てくる大学名を聞きながら、自分の番が近づいてくるのが怖かった。「高校卒業の——」と言った瞬間、周囲がどんな顔をするか。そればかり気になっていた。

実際には、誰も特別な反応をしなかった。でも、自分の中に「高卒」という文字が、ずっと引っかかり続けた。

その日から、学歴コンプレックスが始まった。


「高卒だから」という言い訳を、無意識に使っていた

入社して数年間、何かうまくいかないことがあるたびに、頭の中で「高卒だから仕方ない」という言葉が浮かんでいた。

会議で発言できなかったとき。提案を出すのをためらったとき。大卒の同僚が評価されているのを横目で見たとき。「どうせ高卒の自分には無理だ」という言い訳が、無意識のうちに出てきた。

その言い訳は、ある意味で楽だった。失敗しても「高卒だから」で片づけられる。挑戦しなくても「高卒だから」で正当化できる。でも同時に、その言い訳が自分の可能性を狭めていることにも、どこかで気づいていた。


「大卒だから特別なことをしているわけじゃない」と気づいた日

転機は、仕事を覚えていく中で自然にやってきた。

ある日、資料を作成していて気づいた。自分の作った資料の方が、大卒の同僚のものより見やすい。上司からも「しんの資料はわかりやすい」と言われることが増えていた。手前味噌になるが、上司からの評価は、間違いなく自分の方が上だった。

そのとき初めて、「大卒だからといって、特別なことをしているわけじゃない」と思った。

大学で何かを学んだことは確かだろう。でも職場で求められるのは、学歴ではなく「この仕事をどれだけうまくこなせるか」だ。資料を見やすく作れるかどうか。上司が求めていることを読み取れるかどうか。現場の空気を読めるかどうか。そういった実践的なことは、大学では教えてもらえない。

「学歴が違う」と「能力が違う」は、イコールではない。それを、仕事の現場で体感したのがこのときだった。


高卒で働き始めたことの、気づかなかった強み

学歴コンプレックスが薄れていくにつれて、逆に「高卒で18歳から働き始めたこと」の強みが見えてきた。

大卒の同僚が大学にいた4年間、私は現場にいた。失敗して、怒られて、改善して、また挑戦する。その繰り返しを、4年間積み上げていた。仕事の覚え方、現場での立ち回り方、人間関係の築き方——これらは教科書では学べない。

資料が見やすく作れるようになったのも、上司に評価してもらえるようになったのも、現場で試行錯誤してきた積み重ねがあったからだ。大学に行っていた4年間の代わりに、現場で4年間を過ごした。その差が、じわじわと実力の差として現れてきた。

「高卒だからハンデがある」という見方をしていたが、逆に「高卒だからこそ早く現場に入れた」という見方もできる。どちらの見方が正しいかではなく、自分がどちらの見方を選ぶかの問題だと、今は思っている。


コンプレックスが消えたわけではない

正直に言うと、学歴コンプレックスが完全に消えたわけではない。

今でも、ふとした瞬間に「高卒だから」という考えが頭をよぎることがある。大卒の後輩に昇進で抜かれたとき、重要な会議で自分だけ浮いているような気がするとき。

でも以前と違うのは、その考えが浮かんでも「だから何だ」と思えるようになったことだ。

高卒であることは変えられない事実だ。でも「高卒だからできない」は事実ではなく、思い込みだ。資料作成で評価された事実がある。上司に認められた事実がある。27年間、同じ現場で働き続けてきた事実がある。思い込みより、事実の方が強い。


学歴コンプレックスを持つ人に伝えたいこと

高卒で働いていて、学歴コンプレックスを感じている人に伝えたいことがある。

「大卒だから特別」は、思っているほど本当ではない。 職場で実際に仕事をしてみると、学歴と実力はそれほど比例しない。大卒でも仕事ができない人はいるし、高卒でも評価される人はいる。現場での実力は、学歴ではなく経験と姿勢で決まる。

コンプレックスを「言い訳」にしないこと。 「高卒だから無理だ」という思い込みは、挑戦する前から自分の可能性を狭める。うまくいかなかったとき、学歴のせいにするのは簡単だ。でもそれをやり続ける限り、何も変わらない。

「自分にしかできないこと」を見つけること。 私にとって、それは資料作成だった。上司に「しんの資料はわかりやすい」と言ってもらえたあの感覚が、学歴コンプレックスを薄めてくれた最初の経験だった。どんな小さなことでもいい。「これは自分が得意だ」と思えることが一つあれば、それが自信の土台になる。


まとめ:学歴コンプレックスは「現場」で薄れていく

27年間を振り返ると、学歴コンプレックスを克服したのは、特別な努力をしたからではなかった。

仕事を覚えて、少しずつ結果を出して、「あれ、大卒だからといって特別なことをしているわけじゃないな」と気づいたとき、自然と薄れていった。

学歴は、入口の条件のひとつに過ぎない。職場で評価されるのは、学歴ではなく「この人と一緒に仕事したい」と思ってもらえるかどうかだ。

高卒でも、27年間積み上げれば係長になれる。大卒の後輩に抜かれることもあるが、それでも自分の仕事に誇りを持てる。それが、27年間の現場が教えてくれたことだ。


このブログでは、高卒・係長として27年間働いてきたリアルな経験をもとに、キャリアや仕事について正直に書いています。格好いい話ばかりではなく、コンプレックスや葛藤も含めて。

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