「辞めたい」と思った日の乗り越え方|27年間で何度も訪れた転職衝動との向き合い方

キャリアのリアル(高卒・係長の壁)

はじめに

正直に言います。27年間、一度も「辞めたい」と思わなかったわけではありません。

むしろ、何度もありました。上司と激しく意見がぶつかった日。理不尽な評価をされたと感じた日。同期が転職して年収が上がったと聞いた日。自分のやり方を全否定された日——そのたびに「もうここにいる必要はないのではないか」という気持ちが、頭の中をよぎりました。

しかし私は結果的に、27年間同じ会社に留まりました。それは盲目的な忠誠心からではなく、「辞めたい」という衝動と毎回真剣に向き合い、そのたびに「今は辞める理由より留まる理由の方が大きい」という結論を出し続けた結果です。

この記事では、「辞めたい」と思った具体的な瞬間と、そのたびにどう向き合ったかをお伝えします。転職を否定するものではありません。「辞めたい」という感情を冷静に扱うためのヒントとして読んでいただければ幸いです。


「辞めたい」と強く思った3つの場面

場面①:入社8年目・昇進を見送られたとき

仕事の成果では社内トップクラスだった入社8年目、昇進候補から外れました。同期の大卒社員が先に主任になるのを横目で見ながら、「高卒だからこの会社では限界があるのかもしれない」と思いました。

このとき初めて、転職情報誌を手に取りました。いくつかの求人を見て、「自分のスキルでこれだけの会社に行けるのか」と確認したくなったのです。

結局、応募まではしませんでした。情報誌を見ながら「今の自分に何が足りないのか」を考えるうちに、「転職しても今の不満は解決しない。まず今の場所でやれることをやり切ろう」という気持ちが勝ったからです。

場面②:入社15年目・上司との深刻な対立

係長に昇進して間もない頃、当時の上司と仕事の進め方について深刻な対立が続きました。私の改善提案を頭ごなしに否定され、「お前のやり方は間違っている」と繰り返し言われた時期がありました。

毎朝出勤するのが辛く、「この環境では自分の力を発揮できない」という閉塞感が続きました。この時期が、27年間で最も「辞める」ことを真剣に考えた時期です。

転機になったのは、信頼できる先輩に相談したことでした。先輩は「上司は人事異動でいなくなる。お前が積み上げてきたものは、上司がいなくなっても残る」と言ってくれました。その言葉が、「上司と自分の関係は一時的なもの」という視点を与えてくれました。

実際、その上司は翌年に別部署へ異動しました。「あのとき辞めなくてよかった」と思った瞬間でした。

場面③:入社20年目・同期の転職成功を聞いたとき

同期の一人が転職し、年収が200万円以上上がったという話を聞いたのは入社20年目のことです。

「自分も転職すれば同じくらい稼げるのだろうか」という気持ちが芽生えました。当時の私は係長として5年のキャリアがあり、業務改善の実績もありました。転職市場でどう評価されるかを知りたくなりました。

このとき私がやったのは、転職エージェントに登録して面談だけ受けることでした。「転職する前提」ではなく「自分の市場価値を知るため」という目的で話を聞きました。

結果として、エージェントから「今のキャリアと年齢なら、いくつかの選択肢があります」という評価をもらいました。「転職できる」とわかったことで、逆に「今の会社に留まることを選んでいる」という主体感が生まれました。この経験が、その後の仕事への向き合い方を変えてくれました。


「辞めたい」という感情との向き合い方

これらの経験から学んだ、「辞めたい」という感情への向き合い方をお伝えします。

ステップ①:まず感情を認める

「辞めたいと思ってはいけない」と思う必要はありません。辞めたいという感情が生じるのは、それだけ仕事や職場に真剣に向き合っている証拠でもあります。

まず「今、自分は辞めたいと思っている」という事実を認めることが最初のステップです。感情を否定したまま「頑張らなければ」と無理をすると、後から大きな反動が来ます。

ステップ②:「感情」と「判断」を分ける

「辞めたい」という感情が生じているとき、その感情のままで転職を決めることは危険です。感情が高ぶっているときの判断は、冷静さを欠くことが多いからです。

私のルールは「辞めたいと思った日から3ヶ月は、転職の意思決定をしない」ことです。感情が落ち着いた状態で改めて考えたとき、それでも辞めたいと思うなら、その判断は感情ではなく理性から来ているものです。

ステップ③:「辞めたい理由」を具体的に書き出す

「辞めたい」という気持ちが漠然としているとき、紙に「なぜ辞めたいのか」を具体的に書き出してみます。

書き出してみると「上司が嫌い」という感情的な理由なのか、「この職場では成長の機会がない」という理性的な理由なのかが整理されます。感情的な理由は時間が経てば解消されることが多いですが、理性的な理由は解消されにくいことが多いです。

ステップ④:「今の職場で解決できるか」を考える

辞めたい理由を書き出した後、「その理由は今の職場で解決できるか」を考えます。

上司との関係が理由なら、上司は異動や退職でいなくなる可能性があります。給料が理由なら、昇進や昇給で解決できる可能性があります。しかし「この職種では自分のやりたいことが実現できない」という理由なら、職場での解決は難しいかもしれません。

解決できる理由なら、今の職場で解決策を探す。解決できない理由なら、転職を真剣に考える——この整理が、冷静な判断への道筋を作ります。

ステップ⑤:「転職市場での自分の価値」を把握する

転職する・しないに関わらず、自分の市場価値を定期的に把握することをお勧めします。転職エージェントに相談するだけでも、「自分のキャリアが外から見てどう評価されるか」がわかります。

「いつでも転職できる」という選択肢を持つことで、今の職場に留まる判断が「仕方なく留まっている」ではなく「選んで留まっている」に変わります。この主体感の違いが、仕事への向き合い方を大きく変えます。


「辞めない」を選んだことへの後悔はあるか

27年間、結果として転職しませんでした。それについて後悔はあるか——正直に答えます。

「あのとき転職していたら、もっと稼げていたかもしれない」という思いが、全くないとは言いません。同期の転職成功者の話を聞くたびに、そういう気持ちが一瞬よぎります。

しかし同時に、27年間同じ場所で積み上げてきたものの重さも感じています。人間関係・信頼・社内での実績・現場の知識——これらは、どこかに転職しても持ち運べる「資産」です。そしてこのブログを書いていることも、その27年間の積み上げがあるからこそできることです。

転職が正解か、留まることが正解か——それは、その人の状況と価値観によって全く違います。大切なのは、「辞めたい」という感情を冷静に扱い、自分で納得した判断をすることです。


まとめ

「辞めたい」と思った場面と、その向き合い方をまとめます。

27年間で「辞めたい」と思った3つの場面

  • 入社8年目:昇進を見送られ「高卒の限界」を感じたとき
  • 入社15年目:上司との対立で「この環境では無理」と感じたとき
  • 入社20年目:同期の転職成功を聞いて「自分の市場価値」を知りたくなったとき

感情との向き合い方5ステップ

  • まず感情を認める(辞めたいと思うことは悪くない)
  • 感情と判断を分ける(衝動的な決断をしない。3ヶ月のルール)
  • 辞めたい理由を具体的に書き出す(感情的理由か理性的理由かを整理する)
  • 今の職場で解決できるかを考える(解決できる理由なら解決策を探す)
  • 転職市場での自分の価値を把握する(「選んで留まっている」という主体感を持つ)

「辞めたい」という感情は、自分のキャリアを見直すサインです。その感情を冷静に扱うことで、どんな選択をしても「自分で決めた」という納得感が生まれます。27年間の経験から、それをお伝えできれば幸いです。

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