「会社員」の看板をそっと下ろして、一人の自分に戻る時間

現場の知恵(マインド・仕事術)

一週間も、あと少し。 木曜日の朝、仕事へ向かう準備をしながら、ふと肩に溜まった疲れを感じることがあります。

27年。 ずっと「会社」という大きな船を滞りなく動かすために、自分を後回しにして現場を守り続けてきました。トラブルがあれば真っ先に駆けつけ、上からの無理難題と現場の不満の板挟みになりながら、それでも「これが自分の仕事だ」と信じて疑いませんでした。

でも、今週お伝えしたように、私は自分の足で一歩を踏み出す決意をしています。 それは、今の仕事を疎かにすることでも、投げ出すことでもありません。

むしろ、今日と明日という日をプロとして完璧にやり遂げるためにこそ、自分を大切にする時間が必要だと気づいたのです。今日は、私が大切にしている「一人の男」に戻るための時間について、お話しさせてください。


【自分への還り方】会社のルールより、自分の「心」を大切にする

会社という場所には、独自の「正義」があります。 目標達成、効率化、反映、そして時には「自分を消してでも尽くすこと」が美徳とされる世界です。

係長という立場で、その隙間で押し殺してきた感情や、飲み込んできた言葉は、数えきれないほどあります。後輩には「頑張れ」と言いながら、自分自身はどこか空虚さを感じていた時期もありました。

だからこそ、一日の仕事を終えて戻ったとき、私は意識的に**「会社員としての看板」をそっと横に置く**ようにしています。

報告書に書くための立派な言葉ではなく、誰かに評価されるための態度でもない。 ただ、自分の心から溢れてくる、飾り気のない本音に耳を澄ませるのです。

このブログで文字を紡ぐ時間は、私にとって「係長」から「ただの一人の人間」へと還るための、大切な儀式のようなものです。

大きな仕組みに飲み込まれそうになる自分を、言葉でそっと繋ぎ止める。 「お前は会社の道具じゃない、一人の意志を持った人間だぞ」と。 この静かな時間が、私の背筋を再び、すっと伸ばしてくれます。


【27年の蓄積】経験を自分の「武器」に変える贅沢

これまでの27年間。 私は、誰かの期待に応えるため、あるいは現場の穴を埋めるために、自分の力のほとんどを使ってきました。 それは、働く人間として真っ当な生き方だったと、今でも胸を張って言えます。

けれど、これからはその経験を、少しだけ**「自分の人生」のために使ってみよう**と思うんです。

振り返ってみれば、私が当たり前だと思っていたスキルは、実はとても価値のあるものでした。

  • どんな突発的なトラブルにも動じない粘り強さ
  • 年齢や立場が違う人たちの本音を読み取る力
  • 不条理な環境でも、淡々と成果を出し続ける胆力

これらは、会社の枠を一歩はみ出したとき、私を支える最強の武器になります。

木曜日の朝に、あえて「何もしない」時間や、こうして自分の内面を見つめる時間を作ることは、単なる休息ではありません。 自分の中に眠っている27年分の「経験の欠片」を、一つひとつ丁寧に掘り起こし、磨き上げるような作業です。

誰にも邪魔されない時間の中で、自分の歩んできた道を「よく頑張った」と肯定してあげる。 その贅沢な時間が、私の新しい挑戦――このブログという場所から始まる未来――を支える、静かなガソリンになっています。


【不条理を越えて】組織の論理に魂を明け渡さない

私たちは、しばしば「会社のため」という言葉に自分を捧げすぎてしまいます。 特に20年以上のキャリアを積むと、会社での評価が自分の価値のすべてであるかのように錯覚してしまいがちです。

学歴の壁や、努力が正当に報われない瞬間。 そんな不条理に直面したとき、心が折れそうになるのは、私たちが誠実に生きてきた証拠でもあります。

しかし、今の私は違います。 会社員としての自分を全うしながらも、心の中には「誰にも侵されない聖域」を持っています。

この「自分の場所(ブログ)」で自分の想いを言語化することで、組織の論理とは別の、自分自身の価値基準を再構築しているからです。

木曜日の今、私は改めて自分に言い聞かせます。 「会社は人生のすべてではない。私の価値は、私が決める」と。 この静かな確信があるからこそ、明日もまた、私は凛とした態度で現場に立つことができるのです。


【自分を支える一冊】心の波を静める、静かな「習慣」

こうして自分自身を見つめ直す時間を持つようになったのは、ある一冊の本との出会いも影響しています。

サッカー元日本代表・長谷部誠氏の著書、**『心を整える。』**です。

華やかな世界で戦うプロの言葉でありながら、そこには「日常のルーティン」や「一人の時間の重要性」など、私たち会社員にも通じる、泥臭くも誠実な哲学が詰まっています。

「心は鍛えるものではなく、整えるものだ」

その言葉に、私は救われました。 現場の荒波に立ち向かうために心を「鍛えて」強くしようとするのではなく、乱れた波を静かに「整えて」ニュートラルな自分に戻る。

その感覚を知ってから、木曜日の朝の静寂や、夜の一人の時間が、より一層かけがえのないものになりました。

もし、日々の忙しさに心が削られていると感じる方がいれば、ぜひ一度手に取ってみてください。きっと、自分を保つための「静かな武器」になってくれるはずです。

[長谷部誠『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための勝利の方程式』の詳細はこちら]


【明日のために】穏やかな眼差しで一週間を締めくくる

明日は一週間の締めくくり、金曜日。 会社にいれば、また理不尽な要求や、やり場のない怒りにぶつかることもあるでしょう。

かつての私なら、その荒波に真正面からぶつかって、ボロボロになって週末を迎えていたかもしれません。 でも、今の私には「帰るべき場所」があります。

心まで会社に預けないと決めたからこそ、どんなに現場が荒れていても、心の奥底にある自分だけの領域だけは、誰にも侵させません。

自分自身の立ち位置をしっかり確かめる。 そうすることで、金曜日の私は、誰よりも誠実に仕事をこなしながら、同時に、誰よりも自由な心で現場に立つことができる。

「私は私だ」という確信があれば、周りの雑音はただのBGMに変わります。 この「二重の視点」こそが、27年かけてようやく辿り着いた、私の新しい生き方です。


最後に:さあ、ネクタイを締め直して。 今日も、私たちらしく。

今日も一日が始まります。 朝の静かな時間に、温かいコーヒーを一口。 その温かさが喉を通るとき、ようやく「自分」に戻れたような、心地よい安らぎを感じます。

会社の壁は高く、理不尽は尽きません。 けれど、その壁の向こう側を見つめる瞳を、私はもう持っています。

今日は、これまで頑張ってきた自分を、ただ静かに受け入れてあげようと思います。 皆様も、どうか心穏やかな一日を。

明日、私たちが自分らしい足取りで、一週間の出口を通り抜けられるよう、切に願っています。

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